2008年06月18日

30ビット液晶モニタにいつ手が届く

 日本ヒューレット・パッカードから、RGB各色10ビットの液晶モニタが発売される。通常のモニタはフルカラーで各色8ビット、約1670万色だが、10ビットになると、いっきに10億色まで表示可能になる。
 1色あたり10ビットというのは

1024色

ということになる。1024×1024×1024で、約10億色ということだ。8ビットは256色なので、ビット値で4倍のカラー階調を持つことになる。
 「HP DreamColor LP2480zxプロフェッショナル液晶モニタ」は、24インチ(WUXGA:1,920×1,200)のサイズで、

Adobe RGB比で131%

でカラー再現できるという。オフセット印刷だけに使うのであれば、30ビットのモニタは不要だが、印刷用データをオフセット印刷以外にマルチユースするのであれば、こういう広色域のモニタが必要になる可能性はある。
 たとえば、原稿の基準カラーがインクジェットプリンタからの出力だとする。インクジェットプリンタではCMYK以外の補色を使って、より鮮やかな色を再現することができる。オフセット印刷もそれにあわせて、パステル調の補色で6色とか7色で印刷して、インクジェットのカラーに合わせるのである。

 
  そのカラーをモニタで限りなく忠実に再現するためには、既存の24ビットのモニタでは対応しきれない可能性がある。パステル調の補色だと、Adobe RGBでも再現できない領域はあるに違いない。そうなると、色域の広いモニタが不可欠になる。
 もちろん、30ビットですべてのカラーが再現できるわけではないが、日本ヒューレット・パッカードの「HP DreamColor LP2480zxプロフェッショナル液晶モニタ」の製品紹介のページを見る限り、従来のモニタに比較してかなり広いことは確かのようだ。「Adobe RGB比で131%」というのが、馬蹄形のxy色度図の面積によるものなのか、Lab立体空間での体積比率なのかはわからないが、既存のすべてのRGBスペースを内包できそうである。

lp2480zx_top_images02.jpg

 Photoshopには、16ビットチャンネル32ビットチャンネルがある。印刷で必要とする以上の画像のビット数は、入力画像を広いビットで得て、広いまま補正するためにある。16ビットで撮影したものを、16ビットで補正し、印刷するときに8ビットに落とせば、階調の飛びが少なくなる。つまり補正しても、ヒストグラムが櫛の歯にはなりにくい。8ビットで補正を続けて8ビットのまま印刷すると、画質は劣化する。
 16ビットの画像を、10ビットのモニタで開くと、より忠実にモニタ表示ができるはずである(多分、Photoshopが対応しているかどうかは未確認です)。蛍光色などの8ビットでは再現しにくいカラーも、よりビビットに再現できそうだ。Photoshoperの間では、10ビットのモニタで補正して、8ビットに落とすということが、当たり前になるかもしれない。やがて、モニタも16ビットが標準になるかもしれない。
 IllustratorInDesignもバージョンアップして、貼り込み画像を16ビットで表示するようになるかもしれない。まあもっともそうなると、CPUパワーとメモリの要求量は青天井になるけどね。
 価格は39万9000円。この値段だと、Apple Cinema HD Displayと遜色ない価格になるのに、そう時間はかからない。その前に、Apple Cinema HD Display、10ビット以上にしますかねぇ。

ラベル:液晶モニタ
posted by 上高地 仁 at 18:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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